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■「ワークシェア」企業に助成、雇用調整金で…政府・与党方針
(読売新聞 - 02月12日 03:09)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=747654&media_id=20
  
      
ワークシェアリング(笑)などという制度は、
もうとっくの昔に消えてしまったものだと思っていた。

ワークシェアリングという制度が日本において一般に認知されるようになってきたのは、
俺が大学を卒業した2001年頃からだ。
その当時はバブル経済崩壊後の「失われた10年」の最終期に当たり、
雇用環境は、後期就職氷河期、完全失業率5.0%突破という過酷な時期だった。

特に完全失業率の悪化については、
当時の新聞やニュースで報道されない日は皆無と言ってもよく、
早急な対策による改善が求められていた。

そこで登場したのがワークシェアリング制度だ。
従来のフルタイムでの雇用形態を短縮して1人あたりの労働時間を短縮する代わりに、
雇用人数を増やして分業することにより、総合的な作業量を確保する。
これを全面的に行えば、企業に雇用される人数が増えるので失業率が改善する。

ところがそれは必ずしも良いことかというとそうではない。
当然のことだが、ワークシェアリングは時短を手段として用いているので、
フルタイムでの勤務と比べて給与は圧倒的に少なくなる。
労働者は生活をかけて、その貴重な時間を企業に切り売りする。
そうして生活を成り立たせている。

しかしその生活に必要な給与が少なくなればどうなるだろうか。
額面によっては生活を成り立たせるのが困難な場合が少なくないことが容易に予想される。
通常の企業であれば、雇用している従業員には兼職を禁止している場合がほとんどだ。
兼職ができないから、少ない給与では自活することは困難になる。
そもそも、雇用環境が悪化して就職先が少なくなっているのだから、
兼職しようとしてもできるかどうかは怪しい。

こんな制度、俺は当時から導入するべきではないし、
導入しようとすれば失敗すると思っていた。
時は流れて2007〜2008年、働いても働いても収入が少なく、
生活するだけでもやっとのワーキングプアが社会問題となっていた。
俺が想像していた通りの未来がそこにあった。

現在は2008年秋頃からその深刻性を顕わにしてきた世界的な不況の影響で、
もはや遠い昔のことのように忘れられてしまった感があるが、
その少し前にはネットカフェ難民など、住居もなく、給与が安い派遣社員として
企業に奴隷的にこき使われる状況が生々しく報道されていたのではなかったか。

現状すでに十分に少ない労働者の給与をさらに減らそうと言うのか。
そうしなければ雇用の確保が難しいと言っても、このような状況を招いたのは企業自身である。

2002年2月から2007年10月までの間、日本は未曾有の景気拡大期にあった。
過去最長のいざなぎ景気を超え、69ヶ月間もの長きにわたって拡大を続けた景気は、
いざなみ景気と俗称(正式名称はまだ決まっていないらしい)されるまでに至った。
このいざなみ景気では、国民所得が21兆円増加した。
この21兆円という額は、バブル期を超える、まさに未曾有の大型景気であった。

しかしこれほどの大型景気でありながら、豊かさの実感はないと言われていた。
それはなぜか。

その真実は、増加した国民所得の内訳を見ると理解できる。
国民所得の増加分21兆円について、資本家の所得増加は25兆円に対し、
サラリーマンなどの一般の労働者の所得増加はマイナス4兆円だったのである。
景気が拡大局面にあるにもかかわらず、これが労働者に還元されず、
それどころか逆に搾り取られていたのである。

つまり、資本家にとってはこのいざなみ景気の期間は未曾有の好景気であったのに対し、
一般庶民にとっては未曾有の不景気であった。

人口から見てほんの一握りの割合に過ぎない資本家に25兆円もの所得増加が集中し、
大多数を占める一般庶民は4兆円もの所得減少の憂き目を見ていたのである。
わずかな割合でしかない金持ちがさらに大きな富を手にしているのに、
残りのすべての貧乏人が、所得減少を強いられて苦しんでいたのだから、
実感無き景気拡大と言われるのも当然のことである。

さて、この景気拡大期に企業は利益を労働者に還元しなかったのであるが、
この利益をどうしてしまったのかというと、役員への報酬増額と株主への配当に使い切り、
企業内にほとんど留保することはなかったのである。

後先を考えずに利益を使い切った結果、現在の世界的な不況の前に狼狽しているのである。
あろうことか、自業自得というべきこの責任を、力なき労働者に転嫁してやり過ごそうとしているのである。
これまでさんざんに搾り取られて疲弊しきっている労働者に、
今まで以上に多大な苦しみを味わえと言うのである。
もはや鬼畜の所業と言っても過言ではないだろう。

日本の労働環境において労働者は、企業から過酷な労働を強いられてきた。
労働者が企業へ労働力を提供する最大の動機は、企業が支払う給与の獲得である。
そのために労働者は貴重な時間を切り売りし、私生活を犠牲にしている。
生活がかかっているからこそ労働者は労働し、さらには残業までするのであるが、
企業はサービス残業などという意味不明で不条理な義務を負わせる。
北斗の拳でモヒカンの大男たちが、か弱い村人たちを鞭打って巨大な発電機を回させるような、
苛烈で陰惨な奴隷的苦役がそこにはあるのである。

企業は利潤追求のため、労働者に厳しい義務を課し、
その私生活までも縛り付けて統制下に置こうとする。
そして、その義務に違背することがあれば、厳しいペナルティを課す。

しかし企業の方はというと、残業代を出さずに違法な残業をさせる。
対等に義務を負うべき労働契約を一方的に反故にする。
相手には厳しい義務を課してその遵守を要求するのに、
自らは与えられた義務の履行をあっさりと投げ出す。
やりたい放題である。

法律によって規制されていてさえ、企業の所業は不誠実極まりない。
もしワークシェアリングが日本の労働環境に取り入れられていけば、
ワークシェアリングの根幹である時短労働など無かったものとして扱われ、
残業として、従来のフルタイムの所定時間と残業時間に匹敵する
長時間労働を強いられることは目に見えている。
当然支払われる給与はワークシェアリング相当分でしかなく、残業代は1円もでない。

企業は庶民から搾取することに執心し、それを広く社会に還元することはしない。
一部の金持ちの間でのみ富が循環し、大部分の庶民にはそれが回ってくることはない。
これでは強い需要に支えられた好景気など望むべくもなく、
企業業績は悪化の一途をたどり、巡り巡って自らの首を絞めているのである。

労働者は経営に伴う一切のリスクの責任をとらない代わりに、
企業の業績がいくら上がろうともほとんどその利益に与ることはない。
対して経営者は、経営に伴うリスクをすべて負い、
業績を悪化させれば、その地位を脅かされることもある。
だからこそ、その対価として高額の役員報酬を手にすることを認められているのだ。
たとえそのリスクが不可抗力によるものであったとしても、言い訳をすることは許されない。
それが責任をとるということなのだ。

ところが実際はどうだろうか。
経営者は悪化した業績を従業員の給与を削って補填し、労働契約を不当に破棄し、
採用内定をあっさりと取り消しながら、自らの役員報酬は満額を受け取る。
痛みを逆らうことの許されない弱者に押しつけている。

現在の危機的状況を招いたのは、他ならぬ経営者自身なのであるから、
この責任を労働者に押しつけることなく、その穴埋めの痛みは役員報酬をゼロにしてでも
自らが甘受すべきものである。
政府も企業を甘やかすべきではない。
今ここでしっかりと責任の所在を明らかにし、それに見合った対応をすることこそが、
日本がこの危機的状況から脱出する最良の方法だろう。

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